第1回白鳥省吾賞 表彰式 平成12年2月27日(日)


 

       

 

 

 

 

       受賞者記念撮影


 受賞者の紹介

<一般の部>  

      最優秀賞 1編 賞金20万円及び副賞

      優秀賞   2編 賞金10万円及び副賞       

                             ※副賞はすべて、 ひとめぼれ二十kg・築館ふるさと特産品セットです。

     最優秀 麦田 穣 「南極の赤とんぼ」 徳島県徳島市

     優秀  井手 ひとみ 「柿の木」 岐阜県本巣郡北方町 

     優秀  千田 さおり 「転嫁」 宮城県栗原郡金成町 (岩手県一関第二高等学校)

<審査員推薦 >

審査会において入賞作品と遜色がなかったことにより、特にその名を残すことになりました。賞状の発送をもって表彰とします

     丸山 乃里子 「北に生まれて」 千葉県習志野市

     坂本 公子 「今求めるもの」 岐阜県美濃加茂市

     刀根 陽子 「黄アゲハ蝶とセリの花」 京都府八幡市


  <小中学生の部>   

      最優秀賞 1編 奨学金10万円及び副賞

      優秀賞   2編  奨学金   5万円及び副賞 

      特別賞   3編  奨学金   3万円及び副賞

 

     最優秀 平塚 和正 「おやじ」 宮城県・石巻市立東浜小学校

     優秀  鈴木 理代 「蝉」 宮城県・仙台市立第一中学校

     優秀  白鳥 みさき 「がんのかぞく」 宮城県・築館町立富野小学校

<特別賞 >

     特別賞 平岡 真実 「おとうさん」 大阪市立本田小学校

     特別賞 気仙 ゆりか 「水枕」 むつ市立田名部中学校

     特別賞 阿部 翔平 「とべなかったチュン」 宮城県塩釜市立玉川小学校

     以上 

  表彰式は平成12年2月27日(日)午後3時より、築館町立図書館の2階で盛大に行われました。写真は賞状と受賞された方々。

    敬称は省略させていただきました。

    以下に最優秀賞や受賞作品を紹介します。ホームページの都合上縦書きのものを横書きにしてあります。                        


        最優秀賞               

          「南極の赤とんぼ」   麦田 穣

 

                   南極越冬隊帰りの彼が咳をする

                   もう 半年もつづいている

                   ブリザードにも南緯六〇度の航海にも耐えた

                   強靱な肉体が 風邪に悩まされている

                   ほぼ無菌状態の南極になれた体が

                   帰国してより 菌の充満する都会での体験

 

                   観測をしてきますと 席をたった彼の机の

                   パソコンに映しだされた 南極での

                   大気バックグラウンド汚染観測値のグラフ

                   その先の窓越しに 真夏の光を受けて

                   盛り上がる 積乱雲を見やる彼の姿 ─

                   対流圏高度10q前後にまでにも発達する

                   この雲の雲粒は 水であり氷である

 

                   同じ八月 南極では厳冬を迎えている

                   そしてこの頃 時折 日中は透明で見えず

                   日の出前と日没後の数時間のみ見えるという

                   不思議な茜色の雲が氷上の空に出現するのだ

                   対流圏を越え さらに成層圏の高みで

                   マイナス八〇℃以下の冷却により成り立つ

                   この雲の雲粒は 硝酸の結晶である

 

                   南極の酷寒と 地平線下の太陽高度にて

                   はじめて 人が眼にすることができる

                   この美しい茜色の雲は 化学反応をおこして

                   オゾン層を破壊する役割をになっている

 

                   彼を赤々と染め抜いた南極の雲のような菌が

                   悪い咳をさせる 地球の咳や哀歌のように

                   山里育ちの彼は 氷の世界でその雲を見た時

                   思わず 赤とんぼの歌を口ずさんだという

                   虫とり網をもった少年時代の記憶とともに

                   その 毒雲を呑んだ先に成りたつ私達の世界

                   なくしたものを補う様に 茜雲や積乱雲より

                   はるか上空で しずかに結晶してゆくものよ

                   彼の中から あの南極の修羅の空にとばした

                   赤とんぼは まだ一匹たりとも帰ってこない

 


     最優秀賞

     「おやじ」    平塚 和正  宮城県・石巻市立東浜小学校

 

                   真っ黒い顔

                   ごつこつした手

                   岩のような体

                   そんな父を

                   「おやじ。」

                   と、はじめて呼んでみた

                   「なんだ。」

                   と、すぐに返事が返ってきた

                   何となく、お父さんと呼ぶのが

                   はずかしかったので

                   「おやじ、手伝うよ」

                   と、思い切って話かけてみた

 

                   父の仕事は、かきの養殖

                   早朝、かきだなからかきをあげてくる

                   そして、七時から夕方の四時まで

                   かきむきの作業を続ける

                   父の仕事は、重労働だ

                   かきの養殖以外にも

                   カレイ網さしやしゃこえび漁

                   一年中海を舞台に仕事を続けている

 

                   仕事をしている間のおやじの顔は

                   少しずつ少しずつ、けわしい顔になっていく

                   まるで、精密機械のように

                   次から次へとかきをむく

                   話しかけることさえ、許されないような

                   重苦しいふん囲気になってくる

                   四時になり、ようやく仕事が終わると

                   「和、ありがとな。」

                   と、父の方から話しかけてくる

                   その時、ようやく、父の顔が笑顔になる

 

                   仕事中のけわしい父の顔も

                   笑顔で話しかける父も

                   ぼくは大好きだ

                   おやじは、ぼくの誇りだ            

 


 blebul1a.gif (1048 バイト) 資料提供 築館町立図書館・白鳥省吾記念館

 blebul1a.gif (1048 バイト) 表彰式は平成12年2月2 7日(日)午後2時より、築館町立図書館の2階で盛大に行われました。

  blebul1a.gif (1048 バイト)  敬称は省略させていただきました。

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